推して参る

舞台観劇感想、になったらいいな。

武士白虎もののふ白き虎、回顧録。

推しをイケメン、以外の言葉でなるべく表現するよう、試みる。 その2、の予定です。







やっと作品の感想に突入します。お待たせいたしました。この辺りは9/27以降書いていましたが、忙しくて(色々な意味で)大千秋楽が終わってしまいました。


その辺りも踏まえて、ごちゃごちゃかきます。
分かりにくいと思います、すみません。
スクロールバーの長さで察してください。

そして回顧録と謳いながらどちらかというとDVDを見るときに忘れないための忘備録とか、こういう表情してたよ、とかそんな内容です、すみません。



ここから先はふんだんにネタバレを含みます。東京公演終わったし。なんなら大千秋楽も終わった。



DVD出るまで見れない(=公演を見ていない)からネタバレやめてください!とか。
今回の作品が好きじゃない人とか。
そういう方には今回のダラダラ感想ブログはお勧めできません。
千秋楽が終わって西田さん万歳、推し万歳、もふ虎万歳、っていうテンションだから!!



あくまでもある程度劇場に通いつめたぺーぺーのいちファンの感想やら解釈です。ご理解いただけたら幸いです。

つらつらと長くなり失礼しました。



さて、本作のタイトルですが



武士白虎 もののふ白き虎~幕末、「誠」に憧れ白虎と呼ばれた若者達~



長い。
公式さんが最後まで略称を使わなかったため、巷では「もふ虎」「白きもふもふ」とか呼ばれています。
略称だけだと赤ちゃんのホワイトタイガーを連想できてもふもふしたくなる感。しかし、物語の内容は超cool。

最初はなんじゃこの長いタイトル、と思いましたが今になると正解!越後製菓




前のエントリーで少し触れましたが私は20代半ばになってからの、舞台沼の住人です。
それまではバンギャルだったため、舞台界隈の演出家さんや作品の変遷、歴史などはからっきしです。


今作の作・演出は西田大輔さん。
西田さん演出、自分の周囲を見ても明らかですがハマる人とそうでない人の差が激しい。


小娘が偉そうで申し訳ありませんが、たいへん興味深い演出家さんだと思います。今回、初めて西田作品を拝見しました。

西田さんの過去の作品を観たり、これからの作品を観たりしたい。と思っています。
今回は「綺麗な西田作品」とも言われているらしく、逆に汚いほうを見てみたい。


ようは、西田さん演出にどっぷりとハマりました。ハマれました。

だから楽しい。楽しかった。
気づいたら半分以上、観劇していました。



初日は白虎隊という終わりの見える題材を扱って、死に向かっていく姿なのかと思っていました。ようは「どう死んだか」(だって前情報がなさすぎる。)


が、しかし。この物語は
至るところで話題になっていますが「どう死んだか」ではなく「どう生きたか」の物語。


私たちが悲劇として知るようになった白虎隊のお話も、誰かが話さなければこうして皆が知る物語にはならなかった。

この物語、観客は明治初頭にタイムスリップする疑似体験をし、飯沼貞吉という語り部を介して記憶を共有することで皆が知る白虎隊が更に輝くための物語を振り返ったのではないか、と思っています。



肝心の、その物語を語るのは会津戦争終結から14年後。口を開くにはそれだけの時間を要した、という事でしょうか。
(たぶん史実を紐解こうとすると斎藤一が青森から東京方面に出てこれたあたりのタイミング?なのかな。ちゃんと勉強しよう)



白虎隊の生き残り飯沼貞吉(安西慎太郎)と、新撰組の生き残り斎藤一(青木玄徳)。
斎藤に関しては生き残り、と表現していいか迷いますが貞吉と同じような立場、と考えればその表現が妥当かなぁ、と思います。


物語冒頭は二人の語りで過去を振り返ります。


明治維新が終わり文明開化が進むなか、斎藤が貞吉のもとを訪れる。洋装和装が入り交じり、舞台中央にあるカメラが時代の象徴でしょう。


何故手紙などよこした、と問う斎藤に
「土方さんに出したかったのですが、叶わぬものですから」と返す貞吉。

土方も、亡くなっていますもんね。
はたして、貞吉は自分の持つ重く暗い過去を誰かに話して、アイツらは素晴らしかった。と気持ちを共有したかっただけなのか?2回目の観劇の時はそんなことを思いました。


今になって考えると、物語冒頭の貞吉には「過去を引きずっていて、取り柄のない自分だけが何故か生き残ってしまった罪の意識」があるのではないかと思います。
周りの仲間たちのほうが自分よりも優れているのに、なぜ自分を生かしたのだろう。そう思っていたのではないでしょうか。


そのまま長い年月を経て、白虎隊はマイナスな記憶になっている。周囲に誇るように話すなんて、できない。そんな様子だと思います。


がしかし、この話はそういう湿っぽいものではなく「白虎隊を後世に語り継ぐために、飯沼貞吉をよみがえらせる話」とも取れる気がします。



その中の隠れた(いや、見ると明らかですが)テーマが「"夢・憧れ"を通じて」かな。
劇中歌にも「憧れの背中」とあるように、背中で語る物語。とも言えるのではないでしょうか。



新撰組は白虎朱雀隊にとって憧れで、たぶん今風に分かりやすく置き換えるなら戦隊ヒーローに憧れるチビッコの心理。


新撰組に関してはひたすらカッコいいお兄さんたちです。主人公たちが背中を見て憧れてきた対象ですので、かっこよくて当然。
新撰組に関して、深くはこの物語では描かれていないので脳内補完する他ありません。


荒木さんの土方は殺陣がスピーディーです。2手先を見て斬ってる、んだっけ。BGMも一転して、激しい印象になるので場面が引き締まります。
斎藤はその殺陣を見てメチャクチャテンションが上がるようです。(いつだかのトークショーで葉っぱ隊のような珍妙な動きで再現してくれました。あれは彼の通常運転)


男性目線で見てもカッコいいということは、女子にはたまりません。
私は初日の一幕終了後、少しの間は衝撃的すぎて「やばい…」と呟いたままイスから立ち上がれませんでした。



青木さん演じる斎藤も、よく強さが現れていると思います。
時期が曖昧なのですが、たしか鎧武出演決定後のキャストサイズさんのインタビュー時のプロフィール欄で「特技:殺陣」とあったのですが、見る機会には恵まれず(それ以降の役柄が怪しい科学者とか、囚人、イケメン面が担保の元ホストじゃ、そりゃそうだ)ずっと待ち望んでいました。


斎藤一は左手の殺陣なので、左腕が太くなったそうです。
(一年ほど前の写真集ZUKANの背中の写った写真を見ると明らかですが、筋肉の発達が右に偏ってたからちょうどいいような?)


初日は若干、腰が高いように感じましたがその後しっかり修正されています。
また、刀も二刀流、槍の殺陣もあり、てんこ盛りです。

一幕半ばの新撰組のシーンの時の楽しそうに人を斬る表情、土方と対峙したときの表情、そのあとの土方に対する言動。

今回は簡単に済まされてしまいそうな「かっこいい、イケメン、やばい」はなるべく言わないスタンスの感想blogにしたいのですが、かっこいい以外に表現できない。本当にかっこいい。


いい顔、表情をする役者さんになったなぁ。としみじみしました。ここ最近は、コミカルな役・チャラい役が多かったので、ストレートプレイで彼の魅力を改めて引き出してくれる作品に出てくれてよかった、とすら思います。


狂喜じみた戦闘シーン、貞吉に送る目線、白虎隊を見守る兄のような視線。
どれをとっても見たことのない新しい斎藤一でした。
(とは言え、私の知識の斎藤一るろうに剣心牙突!!!)


白虎朱雀隊という組織が新撰組に憧れていたと同時に、白虎朱雀隊の仲間同士でも、お互いが自分にはない部分に憧れる、青春群像劇。
憧れって、勝手な心境(俺今からお前に憧れるわ!とはならない、個人が勝手に抱くもの)だと思いますが、それが元でアイツみたいになりたい、と自分も鼓舞される、強くなれる。不思議なものですね。


前半は「よし、もっと鍛練して国を、家族を護れるように」という空気が強いと思います。
日々の鍛練の風景をを通じてそれぞれのキャラクターの性格が写し出され、貞吉が仲間をどう思っていたか語ります。
(ほんとに、貞吉目線で。だから、見えていないところもあった)


後半は「現実を目の当たりにして、それでも武士として誇り高く生きる事に憧れた」かなぁ。

初陣を飾る、華々しいとは言え、人を自分の刀で切る事になる。
そんなことを自分の一回りも下の少年たちが、考えないといけなかった世の中を思うとそれだけで涙が出ます。



・・・覚悟は、できてるか!!!


頼母が白虎朱雀隊かける言葉が日に日に、重みを増していたと思います。


ただ、重苦しく悲劇にならないのは間に挟むシーンで泣かされた直後に、笑いを取りに来るからかな。
ずるい!とは思うけど、ずっとあの空気だと演じる側も見る側も心がひたすら病むと思う。


一幕でも白虎朱雀隊の面々がわちゃわちゃしてますが、二幕のほうがかわいいし、メリハリついてるし、好きです。 以下、かわいいbotですが、好きな理由も書いてるから許してください。


儀三郎とかなえちゃんの逢い引きシーン。


一幕では先行して貞吉と悌次郎が二人で覗き見する場面もありますが、そこは儀三郎たちもさることながら、貞吉のピュアっ子ぶりが伺えます。
覗き見しているシーンの目のキラキラ感とか、表情がまだ恋を知らない、そんな子なんだなぁ、となるのです。
二幕はみんなでバカをしながら覗き見するほうが忙しそうですが。


二幕のシーンは最初は白虎朱雀隊を見ていたのですが、ふとした瞬間に本来の推しである青木さんを見たら超おもしろかった。(こんな言い方は失礼な自覚はあるが、これ以外に表現できない)



初日から言っていたのか解らないのですが、逢い引きシーン中盤の
「昔っからそうだったの?ギィちゃん」
という台詞で、その空間に本来はいない斎藤までノリノリになっている(=大千秋楽の一幕追加セリフで明らかですが、過去を振り返っているときの斎藤は干渉してはならない存在だから声も出さない、ぶつからないように逃げる)事までしているのに一緒になって声に出していました。顔芸付きで。
白虎朱雀隊の子達も覗き見なので声が出ていてはいけないのですが、ついつい出ちゃうから儀三郎は気づきそうになる(っていうか気づいてる)のを「ギイィィィ~(裏声)」という謎の鳴き声でで誤魔化そうとするんですが、斎藤まで一緒になって誠の羽織の袖で顔を隠すシーンとか、かわいすぎて。。。。



…が、しかし。その後のシーンから観客は底まで落とされます。


そのあと、戦況はますます苦しくなり、ついに共に鍛練に励んだ同胞から初めての戦死者、和助が出てしまいます。
実は会津戦争の開戦当初から、旧幕府側には内通者がいて。よりにもよって内通者は白虎朱雀隊にいて、内通者は保鉄で。



が、物語の冒頭へ頭を戻すと、明治になって斎藤と再会した時に貞吉の語る、過去の白虎隊のお話は、あくまでも貞吉から見た白虎隊のお話
過去を語っているときの貞吉は、斎藤に対して、彼の「会津新撰組」という立場で知り得る情報と、自分の持っている記憶を共有しているだけ。
白虎朱雀隊に関しては表面的な事しか知らないはずだと思っています。

キャラ紹介のようなシーンがありますが、貞吉は「保鉄についてはあとで語ります、一言では言い表せないから」。と明言しません。
その貞吉の言葉の時、斎藤は飄々としていますが、その少し前。
儀三郎に連れられて保鉄も出てくるシーンで、既になんとも言えない、虫の居所が悪そうな顔をしています。

その理由は、悌次郎から保鉄について「調べてほしい、何かあるに違いない」と依頼されていて、白虎朱雀隊の面々が保鉄を疑っていたことは知っていた。
そして、調べた結果母親を人質にとられていた、という裏まで斎藤は知っていた。だからこその、冒頭で保鉄が登場したときに何とも言えない表情をしていたのでしょう。



意識を物語中盤へ戻すと、保鉄はやっぱり内通者だった、しかし保鉄なりに抗った結果、人質にとられていた母上は殺されるし、保鉄を嫌いだといいながらも仲間だと言ってくれた和助の最期を目の前で見ることになる。


そこからの保鉄の小澤くんのお芝居もとても胸を打つものでした。


自分のせいで和助が死んでしまった、同胞も何人も失った、すまない。と保鉄は泣きながら謝りますが各々、理由を調べていた仲間たち。
母上が人質にとられていた、という理由にたどり着き、誰も保鉄を責める事なく、気づいてやれなくてごめん、悔しいな保鉄、と皆で泣くのです。
仲間っていいなぁ、とホロリ。


そのあと、ハイパーかっこいい土方さんのシーンなんですが、そこもそれ以外にみどころたっぷり。


皆でしんみりしている中に突如現れる斎藤。
「よぅ、弱虫ども何をビチビチ泣いてやがる!!」
という言葉に仲間をバカにされたからか喰ってかかりにいく貞吉。引き留める仲間。そんな後ろ姿を見て、さらに泣きじゃくる保鉄。
そして華麗な斎藤さんの回し蹴り。は~、足長いなぁ・・・・。


とにかく土方さんが呼んでる。酒の相手をしろ ってさ、と。
慌てて現場に向かう白虎朱雀隊。
ついさっきまで泣いていたのが嘘のように、憧れていた土方さんに会うことに緊張しすぎて色々おかしい。ほんとにかわいい。


和助はともかく、わりとみんな儀三郎のことをいい意味で年上扱いしていなかったのに、いざとなると「年上でしょ!」と先頭で行かせようとするとか、近くに来いと言われたら勢い余って土方の靴の上に乗るくらいの距離まで近づくし(確か大楽は儀三郎が土方の足の間から頭を出していました)、近い、と言われたらソデまでハケちゃうし、かわいい。


飲め、と土方に言われた後の勝太郎の日本酒チャレンジはだいたい四杯飲んだ後に倒れてたんだけど、東京楽だけ五杯だったかな。
それを見守る斎藤。最初はお酒を注いでくれる隊士と遊んでるんですが、次第に大丈夫かよこいつ~、という表情から倒れた後の
「…!!殺すんですか土方さん?!」
「いやぁ、打ち解けると思ってなぁ」

このテンポが最高。


初陣前に一度、白虎朱雀隊と会っている土方。
そのときに頼母から「挨拶をしろ」と言われて悌次郎が
「白虎朱雀隊!!伊藤!…」
まで言いかけると「名前などいらない、剣(働き)で覚えさせろ」と、諭す土方。


そんなやり取りがあった上で勝太郎を「棚倉で会った威勢のいい奴だな」と誉める。
それにあたる棚倉のエピソードは物語の中盤。苦しい状況の中で奮戦するけど勝てない白虎朱雀隊。

そんななか、剣の天才悌次郎だけ新撰組の援軍として声がかかる。悌次郎を剣技のライバルとしてみていた勝太郎は、悌次郎だけ声がかかったことが悔しくて、次の戦で周りが見えなくなるほど認めてほしくて戦っていた。けれどがむしゃらすぎて危機に陥る。そんな場面で土方に助けられ、恥ずかしい姿を見られた、と後悔していたんです。


なのに「威勢のいいやつ」と誉めてもらえた。
白虎朱雀隊たちはテンションだだ上がり。「ッスゲェェェ~!!」とみんなで一旦集まってわちゃわちゃ。かわいい。あーもうおばちゃんがご飯食べさせてあげる。ってなります。


そしてその後、意図的に(だと思う)「石田(和助)は見事な最期だった」と切り出す土方。良くわかってる、というかいい言葉を言う。素敵。
その言葉に水を打ったように静まりかえり、一瞬おいて号泣し始める白虎朱雀隊。
そこで
「和助は勇敢でした、どうか忘れないでやってください」
と言いにいくのが保鉄なのがまた憎い。


新太郎が勢い余って土方の前で
「俺は近藤さん派ですから!ハァン!!!!」
とかいい放ってしまうのはヒヤヒヤしたけど、それを受けて
「俺も近藤さん派だ」
と返せる土方。


この時、言い放った新太郎がすごい気迫の土方に呼ばれて、切腹覚悟で出ていくのですが、後ろで見守っていた斎藤が慌てて前に出て庇ってあげるのもとても好き。

庇いながらまさかの土方の本音に驚いて
「局長?!」
と、言うんですが、そこで時代の流れを再認識するというか。


序盤は
「局長近藤が変えました、以後、新撰組、と…」
と土方が言っていますが、この酒宴の時には近藤さんは亡くなっていて、土方が局長なんだなぁ、と気づかされました。


また、新太郎の決意表明のあとに貞吉が

「いつか…!いつか!!狼をも越えて、高い場所に行くことですっ!!!!」

と告げるシーン。
私は今回、上手から観る事がとても多かったのですが、一人一人を注視するのではなく全体を観るべく視点をかえると、白虎朱雀隊の面々はそんな貞吉の背中を見て、次第に背筋が伸びていって最終的にはこれでもか!というくらい胸を張ってるんです。



このあとに待ち受ける壮絶な最期なんか微塵も感じさせないくらいに。



本当にこのシーン(酒宴全体)の土方さんが終始かっこよくて、劇中から言葉を借りるならヤバァイです、この人に抱かれたい。




そしてあとはご存知の通り、奮迅むなしく会津戦争は旧幕府が敗戦が決定的となり、飯盛山の集団自決へ向かう訳です。


勝太郎と茂太郎は、貞吉に「悌次郎の元へ行け」(お前たち二人が生きていてくれたら戦況は変わるかもしれない)と送り出し、最期まで戦う覚悟。
途中、落城を知るとお互いに刀を交換して「最期まで誇り高く」と笑顔で。



儀三郎は別れを告げたはずのかなえちゃんが戦場にいて、着物が乱れて亡くなっている事に気付き「またいつか会おうって、これかよ…」と失意のまま。
このシーン、かなえちゃんの着物が乱れているからもしかして慰みものにされたのか、とか深読みしすぎでしょうか。


保鉄は落城を目の当たりにして取り乱しているところを貞吉に助けられ、生き延びています。劇中ではその後どうなったかは描写されていないですが、大千秋楽の追加演出で貞吉の後ろに白虎朱雀隊が現れるシーンに保鉄はいません。=あれは戦死した側が送り出すシーンなんだな、と理解できました。



新太郎は悌次郎に貞吉と合流しろ、と送り出します。
「誰かが居てやらなきゃ、アイツは折れちまうから。お前らが二人いればなんとかなるってみんな思ってた。頼む、なんとかなってくれ。行け、頭からの命令だ」
と伝えて果てます。
彼は武家としては没落してしまったけど、刀を握らせてくれた父のことを尊敬していて、いつかそんな父に自分が一軍を率いている姿を見せたい。刀、頭脳、どれも敵わないから、頭(アタマ)になるんだ。と夢を語っていました。


皆の想いを受け取った貞吉と悌次郎。
合流はしますが悌次郎は貞吉に自害しないでくれ、戦況が変わる望みをお前に託す(=お前が生きていてくれれば、俺達は生き続けていられる、というような意味合いに解釈しました。)とだけ告げて、果ててしまいます。



この物語冒頭から、淡々と下記を振り返ってきた貞吉は白虎隊としての自分の時は止まったままだったんだと思います。



そこへ、現れた斎藤が悌次郎の言葉の真実を貞吉に語る。


「もし自分たちに何かあったら、白虎の旗は飯沼貞吉へ。」

「貞吉の思いには、誰も敵わないから。憧れていたのは、俺の方だ。……行こう貞吉、みんながついてる。俺だけじゃない、白虎隊みんなだ」


何度か重ねていますが、時が止まったままと感じていた理由は、ここまで過去を語っても貞吉は「今となっても、悌次郎にはかなわない」と言っているからです。
あこがれ続けていた悌次郎までも、なぜなんの取り柄もない自分が生かそうとしたのか。落ちこぼれだったのに何故。と恐らく思い続けていたのでしょう。
新太郎の言うとおり、誰もいなくなってしまった未来では貞吉は折れていました。

しかし、斎藤がもたらした悌次郎の遺言とも取れる言葉で、完全無欠だと思っていたヒーローは自分に憧れていた、という思いがけない言葉に、白虎朱雀隊の隊員だった過去を持つ貞吉は、息を吹き返したんだと思います。

しかし欲を言うと貞吉がみなに憧れられる所以が酒宴のシーンで土方へ向けて宣言した「狼をも超えること」くらいしかエピソード付けできそうにないのが悔やまれます。他にもし、思い当たるシーンのある方いらっしゃったら教えてください。



そして、土方の最期。
土方の最期を頼母から伝え聞いた、として斎藤が語り、土方の最期を知りたがっていた貞吉と記憶を共有しようとするシーン。

過去へは干渉できないはずの斎藤が舞台の前方へ出てきて土方に酒を注ぐ。
(この辺は精神世界?みたいな良く言うメタやらエモやらの演出でしょうか)

その酒を土方が飲み干して、頼母との会話。

戊辰戦争は旧幕府が敗北した。暫くは捕らわれるだろうが新政府軍はお前の力が欲しいそうだ。だから死なずに生き延びろ、と頼母に願われますが拒み、これまでのことに礼を言うと

「狼は高いところに居なくては。いつか足元をすくわれる。…あなたが育てた虎ですよ。」
新撰組副長!土方歳三!・・・逝ってまいります」

と告げて再び戦火へ身を投じて、凶弾に倒れます。



和助の死後の酒宴で貞吉がいった言葉を、笑い飛ばしながら、しかしとても嬉しそうに頭を撫でて
「覚えておこう」
と、言ったからです。


私は毎回毎回このシーンが一番の涙腺緩みまくり、なんなら鼻水もおまけ付き、なのですが。
東京公演22日夜からかな?土方は誠の黒いだんだらを羽織って逝くのです。もう毎回死にそうなくらい泣かされた。

また大千秋楽のみの追加演出で。
そこに「土方さん、ありがとうございました」だったかな。
その場に存在しないはずの斎藤が土方に声をかけました。


"斎藤にとって、土方はやっぱり憧れだった、のかなぁ。"


そう思ったと同時に、大千秋楽という心境とその他の追加演出にも散々涙腺をやられていて、追い討ちをかけられたかのように声が漏れそうになるほど泣いてしまってその前後は記憶にありません。

只の悲劇として描くのではなく、終了後なんとも言えない、しかし満ち足りた気分なのはこのシーンのお陰だと思います。



大人の責任だ、とか親を大事にしてやれ、とか私はこのお芝居の流れで使われる言葉としてはアリだと思っていますが、この作品がお気に召さなかった方はこの辺りが引っ掛かるようです。

そのお気持ち、解らなくもないです。
しかし論点をそこに持っていってしまったら、また違う作品になってしまうと思うし、締まりが悪くなる気がするので私は深く考えないことにしました。


そのくらい、安西くんのお芝居をはじめ、アンサンブルさんも含めてとてもクオリティの高い、良い舞台を見れたと思っています。


松坂わかこさんの貞吉母、途中から語り部ではなくなる貞吉の代わりに語り部として出てきますが、子を思う母の気持ちを痛いくらいに表現されていて、胸が苦しくなるシーンもありました。



横浜くんはもっと淡々とお芝居するタイプかと思いましたが、安西くんに引っ張られるように日に日に、熱くなりました。
最期のシーンで笑いながら果てる。あの笑顔が大好きです。

松村くんは申し訳ないけどいままで全く存じ上げなかった。
松村くんの殺陣でスイッチが入るの、大好きです。
あと、オープニングで初舞台の松本くんのハケと、松本くんの出が被るのですが、すっごい優しい顔で笑いかけていて、そこですら終盤は泣けてきました。


松本くんは初舞台の初々しさと、大千秋楽の化けっぷりが素晴らしい。
色々と手応えを掴めたんだろうなぁ。スゴく台詞回しが自然で和助らしくて、途端に和助のキャラがくっきりと色づきました。
大千秋楽で涙をこらえる姿が印象的でした。
まだ若いしトップコートだし、背が高いし、勝手に期待。


小澤くんも初めてお芝居をみました。
難しい役どころなのに初日からしっかり掴んでいて、心動かされました。
殺陣も、人を想って斬りなさい、の頼母の言葉に従ってあのポーズなのかな?緩急のほどよくついた殺陣が気持ちよかったです。


白又くんも生のお芝居を見るのは初めて。コーンロウ?のような編みこみもあってかわいいのに凛々しくて、男子は20歳近辺で化けるなぁ、と思いました。
茂太郎は保鉄を追い詰めるセリフがあるけど、その後のシーンで責めたことを悔いている気持ちを感じました。
いつかのトークショーでは松本君の親御さんが来てるんだよ、とフォローをれてあげる面も。そして芸人のような面も。意外でした。


河原田くんは1年ぶりに見ました。黒執事のフィニしか知らない身としては衝撃。
天真爛漫なキャラクターに見えるフィニがかわいいなぁ、と思ったのですが今回は体術?というかアクション?殺陣とはまたちょっと違うんですけど、そういうのが取り入れられてて思いのほか筋肉質でびっくりしました。


和田さんはごめんなさい「え?白虎隊????新撰組じゃない・・・!?の??!!」でした。
だけど年上キャストさんと、役柄が非常にマッチしていたと思います。
トークショーでは関西人ぽさが出てましたね。ゆるキャラわだっくま、グッズにならないかな~。
そしてキャストの年齢の話題を振っておいて「ひゃぁぁぁあ><」ってなってる姿に自分自身も胸が痛くなりました。(和田さんと非常に近いしい年代なので・・・・)

書き出したらきりがないのですが、本当に素敵な舞台をありがとうございました。


2015年、怒涛の勢いで原作モノ舞台が多数上演されています。(ようは2.5次元モノ)
私もオタクだし、テニミュからこの界隈にハマったので入口としてはありだと思うのです。
だけど、今年は多すぎないかい?原作ついてないとチケット売れないの???
と、新規の告知が出るたびに毎回思います。おなか一杯。
見たいものがありすぎてどれを選べばいいかわからないし、そもそも若手俳優は界隈はファン層がかぶっている役者さんも多いのに、お客さんを取り合うのはどうなんだろう、と思うのです。


今のテレビドラマ業界がいい例だと思うんですが2005年以降ちょいちょい漫画原作がドラマ化されたり映画化されてヒットするようになりました。
それに味を占めたテレビ局が、バンバン漫画原作をドラマ化したおかげで世間の目が厳しくなって、今の世の中はよほどでないとヒットしなくなってしまってると思うのです。

いつか、演劇業界(と言ったら大袈裟ですが)も2.5次元じゃないと利益にならないとか、とりあえず2.5なら何人かイケメン出して写真うっとけばいいだろうとか、変なレッテルを貼られてほしくない。


そう悶々と考えていたところに、もとになる白虎隊という題材はあれど、原作漫画(もしくはゲーム)ありきではない素敵な脚本、舞台と出会えて本当に幸せでした。


願わくば再演、このキャストで、また、見たいなぁ…
しかたがないのでDVDの発売を心待ちにします・・・
あのシーン、あのアングルから入ってほしい、とか大楽の追加演出と差し替えお願いします、とか、なんならおまけでサントラつけてください、とか要望がたくさんあるのですがどうしたらいいのでしょう。


東映さんにお手紙出せばいいのか????www



ほんとうにきりがないので無理やり締めます。ここまでお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。
もしよろしければ、感想を共有したいな~、なんて思っています。